えきのこっくすしょう
エキノコックス症
症状と特徴
日本では主に多包条虫による肝エキノコックス症が問題となります。感染初期は無症状で、潜伏期間は通常数年から十数年に及ぶことがあります。病変が進行すると、疲れやすさ、右上腹部・右側腹部の痛みや圧迫感、腹部膨満感、発熱、黄疸などが現れることがあります。進行例では胆管・血管への浸潤や肝機能障害により、腹水、浮腫などを生じることがあります。健康診断の画像検査などで無症状のうちに発見される場合もあります。
原因
キツネやイヌなどの終宿主の糞便に排出されたエキノコックスの虫卵を、汚染された手、食品、水などを介して口から摂取することで感染します。野生動物に直接触れなくても感染する可能性があります。予防には、野外活動後や犬に触れた後の手洗い、野生動物の糞便で汚染される可能性のある山菜・果実などの十分な洗浄、衛生管理された水の使用が重要です。虫卵は加熱で不活化されるため、汚染が疑われる水や食品は十分に加熱します。飼い犬を野生動物の死骸や糞便に近づけないこと、流行地域では獣医師の指示に従った定期的な駆虫も予防に役立ちます。
治療
切除可能な肝病変では、病変を完全切除する手術が根治を目指す基本治療です。多くの場合、術前・術後にアルベンダゾールを一定期間投与し、再発や播種のリスクを抑えます。切除が難しい場合、他臓器に広がっている場合、手術リスクが高い場合には、長期のアルベンダゾール治療が行われます。病変の部位・大きさ・進展に応じて、専門施設で手術、薬物療法、画像下治療などを組み合わせて判断します。