じんしょうこうせいしゅっけつねつ
腎症候性出血熱
症状と特徴
通常、突然の発熱、頭痛、筋肉痛、悪心・嘔吐、腹痛などで始まり、結膜充血、顔面や胸部の紅潮、点状出血などがみられることがあります。経過中に血圧低下やショック、血小板減少、出血傾向、急性腎障害による尿量低下が起こる場合があります。重症例では肺水腫、けいれん、意識障害、多臓器不全を来すことがあります。重症度および致死率は原因となるハンタウイルスの種類や医療環境により異なり、約5%と一律にはいえません。
原因
ハンタウイルスによる感染症です。ウイルスを保有する野ネズミ類の尿、糞、唾液などに含まれるウイルスを、乾燥した粉じんとして吸い込むことが主な感染経路です。ダニ媒介が主な感染経路ではありません。人から人への感染は、腎症候性出血熱では通常報告されていませんが、患者の血液・体液を扱う際には標準予防策が必要です。朝鮮半島、中国東北部、ロシア・シベリア、北欧、東欧などで感染リスクがあり、流行地域での野ネズミ類との接触や、その排泄物への曝露に注意します。
治療
特異的治療は限られ、入院下での支持療法が中心です。血圧、尿量、腎機能、電解質、出血傾向を厳重に管理し、必要に応じて輸液・昇圧薬、酸素投与や人工呼吸、急性腎障害に対する透析などを行います。播種性血管内凝固症候群(DIC)を合併した場合は、原因病態の治療と凝固異常への個別対応を行います。ステロイド薬や予防的抗菌薬は標準的に全例へ用いる治療ではなく、細菌感染の合併など明確な適応がある場合に検討されます。流行地域での曝露後に発熱や尿量低下があれば、早急に医療機関へ相談します。