かるちのいどしょうこうぐん
カルチノイド症候群
症状と特徴
カルチノイド症候群は、主に高分化型神経内分泌腫瘍(NET)がセロトニンなどの生理活性物質を過剰に分泌することで起こります。代表的な症状は、反復する顔面・頸部の紅潮(フラッシング)、水様性下痢、腹痛・腹部けいれん、気管支収縮による喘鳴などです。アルコール、熱い飲み物、食事、精神的緊張などで紅潮が誘発されることがあります。長期に続くと、右心系の弁膜症を中心とするカルチノイド心疾患により、むくみ、息切れ、疲労感などが現れることがあります。セロトニン過剰によりナイアシン欠乏が生じ、皮膚炎、下痢、認知機能の変化などを伴うこともあります。
原因
カルチノイドは現在では主に神経内分泌腫瘍(NET)と呼ばれます。小腸、虫垂、直腸、結腸、胃、膵臓、肺などに発生します。消化管、とくに小腸由来のNETでは、肝転移が生じて肝臓での分解を免れると、セロトニンなどが全身循環に入ってカルチノイド症候群を発症しやすくなります。肺・卵巣など、門脈を経ずに全身循環へ分泌物が入る部位の腫瘍では、肝転移がなくても症候群を起こすことがあります。
治療
治療は腫瘍の原発部位、悪性度、広がり、ホルモン症状の程度に応じて決めます。切除可能な局所病変では手術切除を検討します。症状のある進行例では、オクトレオチドやランレオチドなどのソマトスタチンアナログが、下痢・紅潮の抑制および腫瘍増殖抑制に用いられます。下痢が持続する場合にはテロトリスタットエチルの追加を検討することがあります。進行例では、ペプチド受容体放射性核種療法(PRRT:177Lu-DOTATATE)、エベロリムス、肝転移に対する塞栓療法・焼灼療法・切除などが選択肢となります。化学療法は腫瘍の種類、とくに膵NETや高悪性度神経内分泌がんなどで検討されます。心疾患の評価には心エコー検査を行い、必要時には循環器内科と連携します。