シャイ・ドレーガーしょうこうぐん
シャイ・ドレーガー症候群
症状と特徴
シャイ・ドレーガー症候群は、現在では多系統萎縮症(MSA)のうち自律神経障害が目立つ病型として扱われる歴史的な名称です。中年以降に発症することが多く、立ち上がったときの血圧低下による立ちくらみ、失神、疲労感、発汗低下、便秘、排尿障害、男性の勃起障害などの自律神経症状が早期からみられます。進行すると、動作が遅い、筋肉がこわばる、姿勢が不安定になるなどのパーキンソン症状、歩行失調、ろれつが回りにくい、嚥下障害などを伴うことがあります。睡眠中の大きないびきや吸気時の異常音(喉頭喘鳴)、睡眠時無呼吸、呼吸障害がみられる場合があります。
原因
多系統萎縮症は、脳の自律神経系、小脳、基底核などが徐々に障害される神経変性疾患です。オリゴデンドロサイト内への異常なαシヌクレインの蓄積が病理学的特徴とされています。多くは孤発性で、明確な単一原因や通常の遺伝形式は確立していません。
治療
病気の進行を確実に止める治療は現時点ではありませんが、自律神経症状、運動症状、嚥下・呼吸障害を治療して生活の安全性と質を保ちます。起立性低血圧には、十分な水分・塩分摂取が可能かを主治医と確認したうえで、弾性ストッキングや腹部バンド、急に立ち上がらない、少量頻回の食事、頭側を上げて寝るなどを行い、必要に応じてミドドリン、ドロキシドパ、フルドロコルチゾンなどを用います。これらの薬では仰向け時の高血圧に注意が必要です。排尿障害には残尿測定を行い、薬物療法、自己導尿、カテーテルなどを症状に応じて検討します。パーキンソン症状にはレボドパを試みることがありますが、効果は限定的な場合があります。リハビリテーション、転倒予防、嚥下評価、栄養管理、睡眠・呼吸評価が重要です。喉頭喘鳴や呼吸障害では、非侵襲的陽圧換気療法、気管切開などを含め、早期から専門医と対応を相談します。