しんてきがいしょうごストレスしょうがい
心的外傷後ストレス障害(PTSD)
症状と特徴
自然災害、事故、暴力・犯罪、戦争、虐待、性的被害、突然の悲惨な死など、生命・身体の安全を脅かす出来事を直接体験する、目撃する、近親者に起きたことを知る、職業上くり返し詳細に接することなどの後に生じる障害です。主な症状は、①出来事がよみがえる侵入症状(つらい記憶、悪夢、フラッシュバック、関連する刺激での強い苦痛)、②思い出・場所・人・会話などの回避、③気分や考え方の変化(恐怖、罪悪感、感情の麻痺、興味の低下、孤立感など)、④過覚醒・反応性の変化(不眠、いらだち、過度の警戒、驚きやすさ、集中困難など)です。うつ、不安、アルコール・薬物の問題、身体症状を伴うことがあります。診断上は、症状が1か月以上続き、生活・仕事・対人関係に支障があることが目安です。症状は出来事の直後から現れることも、数か月以上たって明らかになることもあります。
原因
強い恐怖、無力感、生命の危険を伴う体験などの心理的外傷が契機となります。被害の程度や反復性、以前のトラウマ、社会的支援の乏しさ、もともとの精神・身体の状態などが発症や経過に影響し得ます。同じ体験をしても全員がPTSDを発症するわけではありません。症状による孤立や睡眠障害、飲酒量の増加などが二次的な問題につながることがあります。
治療
まず安全の確保、十分な休養、家族・周囲の理解と支援が重要です。治療の中心は、トラウマに焦点を当てた心理療法であり、持続エクスポージャー療法、認知処理療法、トラウマ焦点化認知行動療法、EMDR(眼球運動による脱感作と再処理法)などが用いられます。薬物療法では、うつや不安を伴う場合にSSRIやSNRIなどの抗うつ薬が検討されますが、心理療法の代替ではありません。不眠、悪夢、併存するうつ病・不安症・アルコール使用障害などには状態に応じた治療を行います。ベンゾジアゼピン系抗不安薬は依存、転倒、認知機能への影響などがあり、PTSDの中核症状に対する routine の治療としては一般に推奨されません。回復時期には個人差があり、慢性化する場合もあるため、症状が続くときは継続的な支援を受けます。