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ちゅういけつじょ・たどうしょう

注意欠如・多動症(ADHD)

症状と特徴

不注意、多動性、衝動性が、年齢や発達段階に比べて強く、家庭・学校など複数の場面で持続し、生活や学習、人間関係に支障を生じる神経発達症です。不注意では、課題や遊びに集中し続けにくい、忘れ物・なくし物が多い、指示を最後まで聞きにくい、整理整頓や時間管理が苦手などがみられます。多動性・衝動性では、座っていることが難しい、過度に動き回る、よくしゃべる、順番を待ちにくい、質問が終わる前に答える、考える前に行動するなどがみられます。

症状は小児期に現れますが、目立ち方は年齢、性別、環境によって異なります。不注意優勢の場合は静かに困っていることがあり、見逃されることもあります。知的能力はさまざまであり、「IQはふつう」とは限りません。学習症、不安症、抑うつ、睡眠障害、自閉スペクトラム症などが併存することがあります。

ADHDは自閉スペクトラム症(ASD)と症状が一部重なることがありますが、社会性の有無だけで単純に区別することはできません。両者は併存することもあるため、発達歴と複数場面での行動を総合して評価します。小児の有病率は国や診断方法により異なりますが、世界的にはおおむね約5%前後とされます。

原因

遺伝的要因の寄与が大きい、多因子的な神経発達症と考えられています。脳の発達や神経伝達物質の働きに関連する複数の要因が関与すると考えられますが、親のしつけや本人の意思の弱さが原因ではありません。

診断では、睡眠不足、視覚・聴覚の問題、てんかんなどの神経疾患、甲状腺疾患、不安・抑うつ、心的外傷、学習上の困難、家庭・学校環境の問題などにより似た症状が生じていないかも確認します。

治療

治療は、本人・家族への心理教育、保護者向け行動療法(ペアレントトレーニング)、本人への行動療法や認知行動的支援、学校での環境調整を組み合わせます。指示は短く具体的に一度に一つずつ伝える、予定や手順を見える形にする、気が散りにくい座席を選ぶ、望ましい行動を具体的にほめる、休憩を適切に入れるといった工夫が役立ちます。

症状や年齢、生活上の支障に応じて薬物療法を検討します。日本では代表的にメチルフェニデート徐放製剤、アトモキセチン、グアンファシン徐放製剤などが用いられます。薬は専門医が効果と、食欲低下、睡眠への影響、血圧・脈拍、気分の変化などの副作用を確認しながら調整します。抗精神病薬や抗うつ薬はADHDの中核症状に対する標準的な第一選択薬ではなく、重い併存症などがある場合に限って慎重に検討されます。

叱責や罰のみを中心とした対応は自己評価を傷つけるおそれがあります。本人の特性と強みを理解し、家庭・学校・医療が協力して支えることが重要です。

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