ほうしゃせんせいちょうえん
放射線性腸炎
症状と特徴
骨盤内のがんなどに対する放射線治療後に、主として小腸、直腸、大腸に炎症や血流障害が起こる病気です。照射中から照射終了後およそ3か月以内に起こる急性障害と、数か月から数年後に起こり得る晩期障害があります。急性期には下痢、腹痛、腹部不快感、便意切迫、粘液便、直腸出血などがみられます。晩期には慢性的な出血、毛細血管拡張、潰瘍、狭窄、腸閉塞、瘻孔、穿孔、吸収不良などを起こすことがあります。
原因
放射線により腸粘膜の細胞が傷害されることが急性障害の主な原因です。晩期障害では、小血管の障害による慢性的な血流低下、組織の線維化、粘膜の脆弱化が関与します。症状の程度は、照射線量・照射範囲、併用治療、手術歴、糖尿病や血管疾患などの背景によって異なります。
治療
治療は症状と重症度により異なります。急性期は、下痢への対症療法、食事・水分調整、輸液、鎮痛などを行い、必要に応じて放射線治療計画の調整を担当医が検討します。放射線治療を自己判断で中止してはいけません。慢性の直腸出血には、スクラルファート注腸、内視鏡的止血治療(アルゴンプラズマ凝固法など)、高圧酸素療法などが用いられることがあります。狭窄、瘻孔、穿孔、反復する大量出血、腸閉塞では手術が必要となる場合があります。ステロイド薬や5-ASA製剤は症例により使用されることがありますが、効果は病態や投与法によって異なります。