きょうまくちゅうひしゅ
胸膜中皮腫
症状と特徴
胸膜の内面を覆う中皮細胞から発生する悪性腫瘍です。胸痛または胸部の鈍痛、息切れ、労作時呼吸困難、咳、倦怠感、体重減少などがみられます。胸水がたまることで息切れが強くなることがあります。症状が乏しいまま進行する場合もあります。
原因
主な原因は石綿(アスベスト)への曝露です。石綿を扱う職業だけでなく、建設・解体作業、造船、断熱材・保温材の取扱いなどでの曝露が問題となることがあります。発症までの潜伏期間は一般に長く、20~60年以上となることもあります。家族が作業着に付着した石綿を介して曝露するなど、職業曝露以外が関与する例もあります。ただし、石綿曝露歴が明らかでない患者もいます。
治療
治療は病期、組織型、全身状態、切除可能性を踏まえて決めます。切除可能で全身状態が良好な少数の患者では、胸膜切除・肺剥皮術や胸膜肺全摘術などの手術を、薬物療法や放射線療法と組み合わせて検討することがあります。ただし手術の利益と合併症リスクには不確実な点もあり、専門施設で慎重に判断します。切除不能例または進行例では、ニボルマブとイピリムマブの併用免疫療法、またはペメトレキセドとシスプラチンまたはカルボプラチンによる化学療法が主な一次治療の選択肢です。胸水による呼吸困難には胸水排液や胸膜癒着術、痛みには放射線療法や鎮痛薬などを用いることがあります。石綿関連疾患としての補償・救済制度の対象となる可能性があるため、曝露歴を医療機関や相談窓口に伝えることが重要です。