もうまくしきそへんせいしょう
網膜色素変性症
症状と特徴
網膜色素変性症は、主に網膜の視細胞が徐々に障害される遺伝性網膜変性疾患です。症状の出現時期や進行速度には大きな個人差があります。典型的には、暗い場所で見えにくい夜盲、周辺から狭くなる視野狭窄、まぶしさ、暗順応の遅れがみられ、進行すると中心視力も低下することがあります。色覚異常を伴うこともあります。小児期から症状が現れる人もいれば、成人以降に気づく人もおり、高齢になっても比較的良好な中心視力を保つ場合があります。日本では指定難病であり、重症度などの要件を満たす場合には医療費助成の対象となります。
原因
多数の遺伝子の異常が関与する遺伝性疾患です。常染色体優性遺伝、常染色体劣性遺伝、X連鎖遺伝など、さまざまな遺伝形式があります。加齢そのものが原因ではありませんが、症状や視機能の低下は時間経過とともに進行することがあります。
治療
すべての患者に有効な進行停止・回復治療は、現時点では確立されていません。遮光眼鏡の使用、拡大鏡・電子式視覚補助具などのロービジョンケア、視覚障害に関する福祉サービスの活用が重要です。白内障、黄斑浮腫などの合併症があれば治療します。ビタミンAの高用量内服は有効性が確立しておらず、肝障害や妊娠への影響などのリスクもあるため、自己判断では行いません。原因遺伝子が特定された一部の症例では遺伝子治療が適応となり得ますが、対象は限られます。遺伝子治療、細胞治療、人工網膜などの研究・開発も進められています。