じゅうにしちょうかいよう
十二指腸潰瘍
症状と特徴
十二指腸、特に胃に近い十二指腸球部に潰瘍ができる病気です。みぞおちの痛み、空腹時や夜間の痛み、胃もたれ、吐き気などがみられます。食事で一時的に軽くなることがありますが、この特徴だけでは診断できません。出血すると吐血、コーヒーかす様の嘔吐物、黒色タール便、貧血を生じ、大量出血ではショックに至ることがあります。潰瘍による瘢痕などで十二指腸出口部が狭くなると、食後の膨満感、嘔吐、体重減少を起こすことがあります。穿孔すると、突然の非常に強い腹痛、腹部の硬直、腹膜炎を起こし緊急治療が必要です。十二指腸潰瘍は胃潰瘍より若年者にみられる傾向がありますが、NSAIDs使用や高齢化に伴い高齢者にも起こります。男性に多い傾向はあるものの、性差は一律ではありません。
原因
主な原因はピロリ菌感染とNSAIDsの使用です。ピロリ菌による胃前庭部の炎症は、胃酸分泌の調節に影響し、十二指腸粘膜への酸負荷を増やして潰瘍形成に関与します。ただし、発症機序は個人差があり、すべての患者で同じではありません。低用量アスピリンを含む抗血小板薬、抗凝固薬との併用、喫煙、重症疾患による身体的ストレスなども発症・出血リスクに関係します。ピロリ菌感染率は過去より低下しており、十二指腸潰瘍患者のほぼ全員が感染しているわけではありません。
治療
診断には上部消化管内視鏡を行い、出血があれば内視鏡的止血を行います。PPIまたはP-CABによる酸分泌抑制治療を行い、ピロリ菌陽性なら除菌治療を行います。除菌後には、適切な時期に尿素呼気試験または便中抗原検査などで除菌成功を確認します。NSAIDsが原因の場合は、可能なら中止・変更し、継続が必要な場合にはPPIまたはP-CABによる予防を検討します。穿孔、内視鏡で制御困難な出血、強い狭窄・閉塞では緊急手術または外科的処置が必要になることがあります。現在でも胃切除が必要となることはありますが、薬物治療、内視鏡治療、穿孔部閉鎖術などにより、待機的な胃切除が行われることは以前より少なくなっています。
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