karada.me karada.me

にゅうがん

乳がん

症状と特徴

がんは乳房にできる悪性腫瘍で、多くは乳管から発生する浸潤性乳管がんや非浸潤性乳管がんです。小葉から発生する小葉がんや、乳頭・乳輪部に湿疹様の変化を生じるパジェット病などもあります。乳房のしこりで気づくことが多く、初期には全身の不調がない場合が少なくありません。しこりは硬く、形が不整で動きにくいことがありますが、柔らかい場合もあり、痛みの有無だけでは良悪性を判断できません。皮膚のへこみ・ひきつれ、乳頭の陥没、乳頭からの血性分泌、乳頭のびらん、乳房皮膚の赤みやむくみ、わきの下のリンパ節の腫れがみられることがあります。皮膚が赤く腫れ、橙の皮のようにむくむ炎症性乳がんは、しこりがはっきりしないこともある進行の速い病型です。男性にもまれに乳がんが発生します。

乳房の見た目や触った感じの普段との違いに気づく「ブレスト・アウェアネス」は重要です。一方、毎月決まった方法で行う自己触診が死亡率を下げる明確な証拠は十分ではないため、自己検診だけで検診の代わりにはなりません。月経のある人では月経後の乳房の張りが少ない時期に観察・触れると変化に気づきやすいことがあります。異常を感じた場合は、自己判断せず医療機関で診察、マンモグラフィ、乳房超音波検査などを受けます。

早期乳がんは、一般にがんが乳房内にとどまり、リンパ節や遠隔臓器への転移がない段階を指します。予後は病期、がんの性質、治療内容などにより異なるため、しこりの大きさのみで一律に10年生存率を示すことはできませんが、早期発見・適切な治療により治癒が期待できる例は多くあります。

原因

がんの発症には、遺伝的要因、加齢、女性ホルモン(主にエストロゲン)への曝露、生活習慣、乳房の密度など、複数の要因が関係します。リスクを高める要因としては、年齢、BRCA1・BRCA2などの遺伝性乳がん関連遺伝子の病的バリアント、血縁者の乳がん・卵巣がん歴、過去の乳がんまたは一部の良性乳腺疾患、若年時の胸部放射線治療、初経が早いこと・閉経が遅いこと、初産年齢が高いことまたは出産歴がないこと、閉経後の肥満、飲酒、閉経後ホルモン補充療法の一部などがあります。これらに該当しても必ず発症するわけではなく、明らかな危険因子がない人にも発症します。適正体重の維持、飲酒を控えること、運動などはリスク低減に役立つ可能性があります。

治療

治療は病期、がんの広がり、ホルモン受容体(ER・PgR)、HER2、増殖能、遺伝子検査結果、年齢、希望などを踏まえて個別に決めます。手術は乳房部分切除術(乳房温存手術)または乳房全切除術が行われます。乳房温存手術の後には、通常、残った乳房への放射線療法を行います。乳房全切除後にも、再発リスクが高い場合には放射線療法を検討します。

わきの下のリンパ節については、臨床的に転移が疑われない場合、センチネルリンパ節生検で転移の有無を評価します。結果や術前薬物療法の有無によっては、腋窩リンパ節郭清を省略できる場合がありますが、郭清の有無にかかわらず、リンパ浮腫、しびれ、肩関節の動かしにくさが起こることがあるため、必要に応じてリハビリテーションやケアを行います。

薬物療法には、ホルモン受容体陽性乳がんに対する内分泌療法、HER2陽性乳がんに対する抗HER2療法、再発リスクや病期に応じた化学療法、進行・再発例での分子標的薬や免疫療法などがあります。薬物療法は手術前に腫瘍を小さくする目的、または手術後の再発予防目的で行われることがあります。

乳房を切除する場合は、同時再建または後日に行う乳房再建を選択できます。再建方法には、エキスパンダーを用いたインプラント再建、自分の組織を用いる自家組織再建、両者の組み合わせがあります。インプラント再建では被膜拘縮、感染、破損、将来的な入れ替えなど、自家組織再建では採取部の傷や機能への影響、血流障害などの可能性があるため、放射線治療の予定、体格、合併症、希望を含めて形成外科医と相談します。治療後は定期的な診察・画像検査を受け、再発の確認と治療に伴う症状の管理を行います。

関連する病気

この病気に関連する病気

がん

がん

がんの症状は発生部位と進行度により異なり、初期には無症状のことも少なくありません。しこり、出血、痛み、長引く咳や声のかすれ、飲み込みにくさ、便通・排尿の変化、治らない皮膚病変、原因不明の体重減少や強い

パジェット病

ぱじぇっとびょう

乳房の乳頭・乳輪に生じる乳房パジェット病と、外陰部、肛門周囲、陰茎、陰嚢などに生じる乳房外パジェット病があります。赤色から褐色の斑、湿疹のような病変、粉を吹いたような落屑、かゆみ、びらんなどとして始ま

卵巣がん

らんそうがん

卵巣は子宮の両側にある、女性ホルモンや卵子に関わる器官です。ここに生じる悪性腫瘍が卵巣がんです。初期には自覚症状が乏しいことが多く、進行してから見つかる場合があります。進行時には、腹部膨満感、腹囲の増

コレラ

これら

コレラ菌による急性の腸管感染症です。日本では海外渡航後の輸入例が多く、国内発生はまれです。潜伏期間は数時間から5日程度で、典型例では米のとぎ汁様とも表現される多量の水様下痢と嘔吐が急に起こります。発熱

がん

がん

がんの症状は発生部位と進行度により異なり、初期には無症状のことも少なくありません。しこり、出血、痛み、長引く咳や声のかすれ、飲み込みにくさ、便通・排尿の変化、治らない皮膚病変、原因不明の体重減少や強い

リンパ浮腫

りんぱふしゅ

リンパ液の流れが障害され、腕、手、脚、足、顔面、外陰部などが慢性的に腫れます。初期には軟らかく、圧迫するとへこむむくみがみられることがありますが、進行すると皮膚・皮下組織が硬く厚くなり、むくみが戻りに

この病気を参照している病気

男性の更年期障害

倦怠感、意欲低下、抑うつ気分、いらだち、不安、集中力や記憶力の低下、睡眠障害などがみられることがあります。身体面では、ほてり、発汗、めまい、筋力低下、関節痛、内臓脂肪の増加などがみられる場合があります

骨粗鬆症

こつそしょうしょう

骨粗鬆症は、骨量の低下と骨質の劣化により骨がもろくなり、軽い転倒などでも骨折しやすくなる病気です。骨量が減るだけでは自覚症状がないことが多く、骨折を契機に見つかります。代表的な骨折部位は、背骨の椎体、

脳悪性腫瘍

のうあくせいしゅよう

症状は腫瘍の種類、発生部位、増大速度、頭蓋内圧の上昇の程度により異なります。頭痛、吐き気・嘔吐、視力低下や複視、けいれん、手足の脱力やしびれ、言葉が出にくい、性格・認知機能の変化、ふらつきなどがみられ

脊髄腫瘍

せきずいしゅよう

脊髄そのもの、脊髄を包む膜、神経根、脊椎骨などに生じる腫瘍です。首・背中・腰の痛み、夜間や横になっていても続く痛み、神経根に沿った痛み、手足のしびれや感覚低下、筋力低下、歩行障害、筋萎縮、けい性まひ、

肝がん

かんがん

肝がんには、肝臓から発生する原発性肝がんと、他臓器のがんが肝臓へ広がる転移性肝がんがあります。原発性肝がんでは肝細胞がんが最も多く、次いで肝内胆管がんなどがあります。早期の原発性肝がんは無症状のことが

転移性肝がん

てんいせいかんがん

転移性肝がんは、肝臓以外に発生したがんが肝臓へ転移した状態です。大腸がん、膵がん、胃がん、乳がん、肺がん、神経内分泌腫瘍などからの転移がみられます。病巣は複数であることが多い一方、単発の場合もあります

パジェット病

ぱじぇっとびょう

乳房の乳頭・乳輪に生じる乳房パジェット病と、外陰部、肛門周囲、陰茎、陰嚢などに生じる乳房外パジェット病があります。赤色から褐色の斑、湿疹のような病変、粉を吹いたような落屑、かゆみ、びらんなどとして始ま

卵巣がん

らんそうがん

卵巣は子宮の両側にある、女性ホルモンや卵子に関わる器官です。ここに生じる悪性腫瘍が卵巣がんです。初期には自覚症状が乏しいことが多く、進行してから見つかる場合があります。進行時には、腹部膨満感、腹囲の増

卵管がん

らんかんがん

卵管に発生する悪性腫瘍です。多くは上皮から生じる高異型度漿液性がんで、卵巣がんや原発性腹膜がんと似た性質を示します。初期は症状がない、または症状が非特異的であることが多く、進行すると水様性または血性の

乳腺炎

にゅうせんえん

乳腺に起こる炎症の総称です。授乳期には、乳房の張り、局所の痛み、熱感、発赤、硬い部分などがみられます。炎症が強い場合や細菌感染を伴う場合は、発熱、悪寒、倦怠感などを伴い、膿瘍を形成することがあります。

急性化膿性乳腺炎

きゅうせいかのうせいにゅうせんえん

授乳期に、乳房の限局した強い痛み、発赤、腫脹、熱感、硬結が生じ、発熱、悪寒、震え、倦怠感などの全身症状を伴うことがあります。炎症が進行すると、乳房内に膿瘍が形成され、波動を感じるしこり、持続する強い痛

乳管拡張症

にゅうかんかくちょうしょう

乳房の痛み、乳頭からの分泌、乳輪下のしこり、陥没乳頭、皮膚の炎症、膿瘍、瘻孔などがみられます。しこりは硬く境界が不明瞭なことがあり、乳がんと区別が難しい場合があります。中年以降に多い傾向がありますが、

乳腺症

にゅうせんしょう

乳腺症は、月経周期に伴う乳房の痛み、張り、触るとごつごつした感じ、しこり感、嚢胞などを含む良性の乳腺変化を指す従来の呼称です。月経前に痛みやしこり感が強くなり、月経開始後に軽くなることが多く、閉経後に

乳腺線維腺腫

にゅうせんせんいせんしゅ

主に若年者、とくに10〜30歳代にみられる乳腺の良性腫瘍です。乳房に小豆大からクルミ大、時にそれ以上の大きさのしこりとして触れます。しこりは球形または卵円形で、表面は滑らか、境界が比較的明瞭で、弾力が

葉状腫瘍

ようじょうしゅよう

主に30〜50歳代にみられますが、より若年者から高齢者まで発症することがあります。初期には小さなしこりとして触れますが、短期間に急速に増大することが特徴です。5cmを超えることもあり、まれに非常に大き

異常乳頭分泌

いじょうにゅうとうぶんぴつ

妊娠中・授乳中ではないのに乳頭から分泌物が出る状態です。片側または両側に起こり、白色、透明、黄色、緑色、褐色、赤色、黒色などさまざまです。とくに、片側のみ、単一の乳管から自然に出る、血性または透明な分

乳房の腫脹・しこり

にゅうぼうのしゅちょう・しこり

乳房のしこりは、若年者では良性病変が多い一方、年齢とともに乳がんの可能性は高くなります。原因として乳腺線維腺腫、葉状腫瘍、乳腺症、嚢胞、乳がんなどがあります。乳がんのしこりは硬く、周囲との境界が不明瞭

老人性膣炎(萎縮性膣炎)

ろうじんせいちつえん(いしゅくせいちつえん)

閉経前後から閉経後に、乾燥感、かゆみ、灼熱感、痛み、性交痛、黄白色または膿性のおりもの、排尿時痛、頻尿、反復する尿路感染症などがみられることがあります。腟粘膜は薄く乾燥して傷つきやすく、性交や診察など

女性の更年期障害

じょせいのこうねんきしょうがい

更年期は、卵巣機能が低下し始めてから閉経を経て閉経後に至る移行期で、一般には45〜55歳頃にみられます。閉経は、ほかの原因がない12か月間の無月経を後から確認して診断します。日本人の自然閉経年齢の平均