はいけつしょう
敗血症
症状と特徴
短時間で重症化し、低血圧が輸液だけでは改善せず昇圧薬を必要とする敗血症性ショック、急性呼吸不全、急性腎障害、肝障害、意識障害、播種性血管内凝固(DIC)などを伴うことがあります。多臓器障害へ進行するおそれがあり、緊急治療が必要です。
血液疾患、がん、糖尿病、肝・腎疾患、免疫抑制薬・抗がん薬の使用、臓器移植後などで免疫機能が低下している人、乳幼児、高齢者では重症化リスクが高くなります。
原因
敗血症は、単に血液中に細菌が存在する菌血症と同義ではありません。菌血症があっても無症状のことがあり、逆に血液培養で病原体が検出されなくても、感染に伴う臓器障害があれば敗血症と診断・治療の対象になります。感染に対する異常な全身反応により、血管、凝固系、臓器が障害されることが重症化の中心的な仕組みです。
治療
同時に、酸素投与、輸液、必要時の昇圧薬、人工呼吸管理、腎代替療法(透析)などの集中治療を行います。膿瘍の排膿、感染したカテーテルの抜去、胆道閉塞の解除、壊死組織の除去、消化管穿孔に対する手術など、感染源を取り除く処置(ソースコントロール)が重要です。
治療は原因、感染部位、臓器障害、免疫状態によって異なります。抗菌薬の投与期間は一律ではなく、感染源の制御状況や臨床経過を踏まえて決定されます。
関連する病気
この病気に関連する病気
呼吸不全
こきゅうふぜん
肺でのガス交換が障害され、血液中の酸素が低下する低酸素血症、二酸化炭素が増加する高二酸化炭素血症、または両方が生じた状態です。息切れ、呼吸困難、頻呼吸、疲労感、頭痛、眠気、不眠、食欲低下、不安、チアノ
がん
がん
がんの症状は発生部位と進行度により異なり、初期には無症状のことも少なくありません。しこり、出血、痛み、長引く咳や声のかすれ、飲み込みにくさ、便通・排尿の変化、治らない皮膚病変、原因不明の体重減少や強い
糖尿病
とうにょうびょう
糖尿病は初期には症状がないことが多く、健康診断などで発見されます。高血糖が進むと、口渇、多飲、多尿、夜間頻尿、食欲の変化、だるさ、疲れやすさ、体重減少、皮膚のかゆみ、感染症にかかりやすい、傷が治りにく
この病気を参照している病気
流行性髄膜炎
りゅうこうせいずいまくえん
髄膜炎菌による細菌性髄膜炎で、発熱、悪寒、激しい頭痛、吐き気・嘔吐、項部硬直がみられます。敗血症を伴うと、急速に悪化し、紫斑・点状出血などの皮疹、血圧低下、意識障害を生じることがあります。
涙嚢炎
るいのうえん
涙嚢は目頭と鼻の付け根の間にある涙の通り道の一部です。涙嚢炎では、目頭から鼻の付け根にかけて赤み、腫れ、圧痛が生じ、粘液性または膿性の目やに、流涙がみられます。慢性涙嚢炎では、目やにや流涙を繰り返し、
眼内炎
がんないえん
眼球内部の炎症で、感染性眼内炎では眼痛、充血、流涙、まぶしさ、急速な視力低下、飛蚊症、眼内の濁りなどが起こります。重症例では瞳孔の奥に膿が見えることがあります。症状が比較的軽い場合でも、急速に悪化して
MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)感染症
エムアールエスエー(メチシリンたいせいおうしょくブドウきゅうきん)かんせんしょう
MRSAは皮膚や鼻腔などに存在しうる黄色ブドウ球菌のうち、メチシリンなど多くのβラクタム系抗菌薬が効きにくい菌です。保菌しているだけで症状がなければ、通常は治療を要しません。感染すると、膿を伴う皮膚・
VRSA(バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌)感染症
ブイアールエスエー(バンコマイシンたいせいおうしょくブドウきゅうきん)かんせんしょう
VRSAはバンコマイシンに高度耐性を示す黄色ブドウ球菌です。感染した部位に応じて、皮膚・軟部組織感染症、創部感染、肺炎、菌血症・敗血症などの症状を起こしえます。世界的にもきわめてまれであり、日本国内で
薬剤耐性緑膿菌感染症
やくざいたいせいりょくのうきんかんせんしょう
緑膿菌は水回り、土壌などの環境に存在する細菌で、健康な人には通常大きな問題を起こしにくい一方、免疫機能が低下した人、重い基礎疾患がある人、人工呼吸器・カテーテルを使用している人などでは、肺炎、尿路感染
肺水腫/肺うっ血
はいすいしゅ/はいうっけつ
肺水腫では急な呼吸困難、頻呼吸、横になると苦しく座ると楽になる起坐呼吸、咳、喘鳴、ピンク色で泡状の痰などがみられます。心不全に伴う場合には、脚のむくみ、体重増加、動悸などを伴うことがあります。重症では
急性呼吸促迫症候群
きゅうせいこきゅうそくはくしょうこうぐん
急性呼吸促迫症候群(ARDS)は、肺の強い炎症により肺胞・毛細血管のバリアが傷つき、肺に水分がたまって重度の低酸素血症を起こす病態です。数日以内に急速に呼吸困難、頻呼吸、低酸素血症が進行し、通常の酸素
縦隔炎
じゅうかくえん
発熱、悪寒、胸痛、背部痛、息苦しさ、嚥下痛・嚥下困難、頻脈、全身倦怠感などがみられます。進行すると血圧低下、意識障害、呼吸不全、敗血症に至り、生命に関わることがあります。頸部の感染が胸部へ広がる下行性
腎静脈血栓症
じんじょうみゃくけっせんしょう
片側または両側の腎静脈に血栓ができ、血流が妨げられる病気です。急性の場合は側腹部・腰背部痛、血尿、発熱、たんぱく尿、腎機能低下、尿量低下が起こることがあります。両側性の場合や片方の腎機能がもともと低下
腎盂腎炎
じんうじんえん
主に細菌感染によって腎盂・腎杯と腎実質に炎症が起こる病気です。急性腎盂腎炎では、38℃以上の発熱、悪寒、強いだるさ、側腹部・腰背部の痛み、肋骨脊柱角をたたいたときの痛み、吐き気・嘔吐がみられます。頻尿
腎周囲膿瘍
じんしゅういのうよう
腎臓を覆う被膜の外側と周囲組織との間(腎周囲腔)に膿がたまる病気です。発熱、悪寒、わき腹から腰背部の痛み、腎臓付近の圧痛、だるさ、食欲低下などがみられます。進行すると、触れてわかる腫瘤、体重減少、全身
腎膿瘍
じんのうよう
腎実質内に膿のかたまりができる病気です。高熱、悪寒や震え、わき腹・腰背部痛、肋骨脊柱角をたたいたときの痛み、倦怠感、吐き気などがみられます。多発する小膿瘍が融合して大きな膿瘍になることがあり、腎被膜の
腎周囲炎
じんしゅういえん
腎臓周囲の脂肪組織や筋膜に炎症・感染が及ぶ状態です。発熱、悪寒、わき腹から腰背部の痛み、腎臓付近の圧痛、倦怠感、食欲低下などがみられます。進行すると腎周囲に膿がたまる腎周囲膿瘍となり、敗血症を起こすこ
肝膿瘍
かんのうよう
肝臓内に膿がたまる病気で、膿瘍が1個の場合も複数の場合もあります。細菌による化膿性肝膿瘍と、赤痢アメーバによるアメーバ性肝膿瘍があります。日本では化膿性肝膿瘍が大半です。化膿性肝膿瘍では、発熱(しばし
胆石症
たんせきしょう
胆汁の成分が胆嚢や胆管内で結晶化してできる石を胆石といいます。胆嚢にあるものを胆嚢結石、胆管にあるものを総胆管結石などと呼びます。胆石があっても多くの人は無症状です。症状が出る場合は、右上腹部やみぞお
急性胆管炎
きゅうせいたんかんえん
胆管に感染と炎症が起こる病気です。代表的な症状は、発熱・悪寒、右上腹部またはみぞおちの痛み、黄疸であり、これらはシャルコーの3徴と呼ばれます。重症化すると、血圧低下やショック、意識障害、腎障害、呼吸障
急性胆嚢炎
きゅうせいたんのうえん
胆嚢に急性の炎症が起こる病気です。右上腹部またはみぞおちの持続的な痛み、圧痛、発熱、吐き気、嘔吐が主な症状です。食後に症状が誘発・増悪することはありますが、食後3~4時間に限って起こる病気ではありませ
偽膜性大腸炎
ぎまくせいだいちょうえん
大腸粘膜に黄白色で隆起した偽膜が生じ、水様性下痢、腹痛、発熱、腹部膨満、悪心、粘液便などがみられます。血便を伴うこともあります。重症では脱水、低アルブミン血症、電解質異常、腎機能障害、低血圧、中毒性巨
虚血性大腸炎
きょけつせいだいちょうえん
大腸への血流が一時的または持続的に低下して、大腸粘膜に炎症や傷害が起こる病気です。比較的高齢者に多く、便秘傾向のある人にもみられます。突然の腹痛、便意、下痢、血便・下血が典型的です。多くは一過性型で、
腸間膜動脈閉塞症
ちょうかんまくどうみゃくへいそくしょう
主に上腸間膜動脈が血栓や塞栓で急に閉塞し、小腸の大部分や大腸の一部が虚血に陥る病気です。突然発症する非常に強い腹痛が特徴です。初期には腹部を押したときの所見が比較的軽くても、痛みが強いことがあります。
後天性巨大結腸症
こうてんせいきょだいけっちょうしょう
巨大結腸症は大腸が異常に拡張する状態で、重い便秘、腹部膨満、腹痛、食欲低下、吐き気などを生じます。慢性的に経過する後天性巨大結腸症と、炎症性腸疾患や感染性腸炎などに伴って急速に悪化する中毒性巨大結腸症
腹膜炎
ふくまくえん
腹膜は腹壁の内側と腹腔内臓器の表面を覆う膜で、ここに炎症が起こることを腹膜炎といいます。炎症が一部に限局するものを限局性腹膜炎、腹腔全体に広がるものを汎発性腹膜炎といいます。急性腹膜炎では、強い腹痛、
急性腹膜炎
きゅうせいふくまくえん
短期間で発症する腹膜の急性炎症です。腹痛、発熱、頻脈、腹部膨満、吐き気・嘔吐、腹部を押したときや動いたときに増悪する痛み、腹筋が硬くなる筋性防御などがみられます。重症化すると、敗血症やショックにより血
胆汁性腹膜炎
たんじゅうせいふくまくえん
胆嚢、胆管、肝臓などから胆汁が腹腔内へ漏れ、腹膜炎を起こす状態です。激しい腹痛、腹部膨満、腹部の圧痛、吐き気・嘔吐、発熱がみられます。胆道感染を伴う場合には悪寒、黄疸、敗血症やショックを起こすことがあ
急性腎不全
きゅうせいじんふぜん
現在は急性腎障害(AKI)と呼ばれることが多い病態です。数時間から数日、ときに数週間のうちに腎機能が急激に低下します。乏尿や無尿を伴うことがありますが、尿量が保たれる場合もあります。老廃物や水分、カリ
前立腺炎症候群
ぜんりつせんえんしょうこうぐん
前立腺に炎症または痛み・不快感が生じる病態です。急性細菌性前立腺炎では、悪寒・戦慄を伴う発熱、急激な全身状態の悪化、下腹部・尿道・会陰部の痛み、排尿痛、頻尿、残尿感、排尿困難がみられます。尿が濁る、血
化膿性関節炎
かのうせいかんせつえん
一般的に細菌感染によって関節内に炎症と膿が生じます。関節の急激な痛み、赤み、腫れ、熱感が現れ、痛みのため関節を動かせなくなることがあります。発熱や悪寒を伴うこともあります。治療が遅れると関節軟骨が短期
顆粒球減少症
かりゅうきゅうげんしょうしょう
白血球のうち、特に細菌や真菌に対する防御を担う好中球が減少した状態を指すことが多く、好中球減少症ともよばれます。感染しやすくなり、発熱、悪寒、のどの痛み、口内炎、歯肉炎、肺炎、皮膚感染症などが起こりま
無顆粒球症
むかりゅうきゅうしょう
好中球が著しく減少またはほぼ消失した重症の好中球減少症です。倦怠感、悪寒を伴う発熱、強いのどの痛み、口内炎、歯肉炎などが起こります。重症化すると肺炎、敗血症などの重篤な感染症を招くことがあります。
播種性血管内凝固症候群(DIC)
はしゅせいけっかんないぎょうこしょうこうぐん
重い基礎疾患により全身の凝固反応が過剰に活性化し、細小血管に微小血栓が多発する状態です。微小血栓による血流障害で、腎臓、肺、脳、肝臓、消化管などに障害が起こり、多臓器不全に至ることがあります。同時に血
ペスト
ぺすと
アフリカの一部、アメリカ西南部、南米、ロシア、アジア中部・東南部などでみられる感染症です。潜伏期間は通常1~7日程度で、だるさ、悪寒、高熱などが現れます。主な病型は腺ペスト、肺ペスト、敗血症ペストです
野兎病
やとびょう
潜伏期は通常3〜6日程度ですが、1〜14日程度のことがあります。突然の発熱、悪寒、頭痛、だるさ、吐き気、筋肉痛、関節痛などが現れます。皮膚から感染した場合は、侵入部位に痛みを伴う丘疹、水疱、潰瘍ができ
炭疽
たんそ
炭疽は主に皮膚炭疽、吸入炭疽、消化管炭疽に分けられ、注射薬物使用に関連する注射炭疽もあります。皮膚炭疽では、感染後おおむね1〜7日でかゆみを伴う発疹から水疱、周囲の強いむくみ、痛みが比較的少ない黒色の
鼻疽
びそ
皮膚から感染した場合、数日から数週間の潜伏期後に皮膚の結節、潰瘍、リンパ管に沿った病変、発熱などが現れます。吸入感染では発熱、筋肉痛、せき、胸痛から肺炎、肺膿瘍、敗血症へ進行することがあります。慢性化
類鼻疽
るいびそ
潜伏期は通常1〜21日程度ですが、より長い潜伏期をとることもあります。皮膚から感染すると、皮膚潰瘍や膿瘍、リンパ節腫脹が生じます。吸入感染などでは、発熱、せき、胸痛、気管支炎、肺炎を起こします。糖尿病
糞線虫症
ふんせんちゅうしょう
無症状のこともあります。皮膚から侵入した直後にはかゆみを伴う皮疹が起こることがあり、その後、咳、喘鳴などの呼吸器症状、腹痛、下痢、腹部膨満感、吐き気などが現れることがあります。感染が長期間持続すること
子宮内膜炎
しきゅうないまくえん
子宮内膜に感染・炎症が起こる病気です。急性の場合、発熱、悪寒、下腹部痛・子宮の圧痛、悪臭を伴う膿性のおりもの、不正性器出血、子宮復古不全などがみられます。産後や流産後では高熱や全身状態の悪化を伴うこと
子宮筋層炎
しきゅうきんそうえん
子宮内膜の感染が子宮筋層まで及ぶ、または子宮壁の損傷部を契機に子宮筋層に感染が起こる状態です。発熱、下腹部痛、子宮の圧痛、悪臭を伴う膿性おりもの、不正性器出血などがみられます。重症化すると骨盤内膿瘍、
骨盤腹膜炎
こつばんふくまくえん
発熱、下腹部痛、骨盤痛、吐き気・嘔吐、異常なおりもの、不正出血、性交痛、排尿痛などがみられます。重症化すると、腹膜刺激症状、骨盤内膿瘍、腸管・卵管・卵巣周囲の癒着、敗血症を起こすことがあります。治療後